◆ビタミンCはどう飲むのが効率的なのか?

9/27/2021

オーソモレキュラー ガン ビタミンC ビタミンC点滴 活性酸素

 こちらは足立区・ミルディス皮フ科の理事長である村上義之医師が書いたテキストの一部抜粋となります。

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■ビタミンCの代表的な働きについて

さて、サプリメントの代表といえば、多くの方がビタミンCを思い浮かべることでしょう。
美容に興味のある方にとっては、「ビタミンC=美白」かも知れません。

では、普通にシナール錠を1日3回、1粒(250mg)ずつを毎日飲み続けると、どんどん肌が白くなってゆくのでしょうか?

まず、ビタミンCの代表的な働きとして下記のようなことが挙げられます。

☆酸化還元反応に関わる
ビタミンCは、脂質代謝やホルモンの生成など、体のなかのさまざまな酸化還元反応に関わっています。
ビタミンEとの組み合わせで、抗酸化作用を発現し、酸化されたビタミンEを元に戻す働きがあります。 

☆コラーゲンを作るために必須
ヒトの体のタンパク質の約3割を占めるコラーゲンは、繊維状のタンパク質であり、皮膚・血管・軟骨などに存在して組織を強固にしています。
コラーゲンを合成するためには、ビタミンCが欠かせません。

☆鉄の吸収を助ける
鉄は主に赤血球を作る材料になるミネラルです。
さらにはミトコンドリア内でのエネルギー産生にも欠かせません。
鉄には2種類あり、動物性食品に含まれているヘム鉄と、植物性食品に含まれている非ヘム鉄があります。
ヘム鉄は体に吸収されやすいのですが、非ヘム鉄は吸収効率が悪いことが知られています。ビタミンCを一緒に摂ると、非ヘム鉄の腸からの吸収があがります。

その他)
☆免疫力アップ:白血球の走化性亢進

☆酵素の補酵素
アドレナリンやオキシトシンなどの神経伝達物質やホルモン産生、脂肪酸をミトコンドリア内に運搬してエネルギー産生に使えるようにするカルニチンの産生、などに関わる酵素の補酵素。

☆メラニン色素産生抑制 
ビタミンCは、メラニンが作られる際に働くチロシナーゼ酵素の活性を阻害するとされています。
また、一度合成された酸化型の黒色メラニンを還元型の淡色メラニンにすることもわかっており、ユーメラニン(黒色メラニン)合成抑制作用と、合成されたユーメラニン(黒色メラニン)を脱色する2つの効果が期待できます。














■ドーズレスポンスの話

ところで。

分子栄養学を習うと、最初に教えていただくこととして「サプリメントを効かせるカギ」なるものがいくつかありますが、中でも今回は「ドーズレスポンス」「局在を考える」とビタミンCについてお話したいと思います。

〈ドーズレスポンス〉
栄養素の最低必要量と最適量(至適量)は異なるということ。
使用量によって作用が異なる、目的によって使用量が異なるということでもあります。





この表のように各栄養素において、使用量によって作用、目的が異なります。

現在、日本ではビタミンCについて成人では1日の推奨量が100㎎(2015年版食事摂取基準)と設定されています。
健康な状態であればそれでも良いのかもしれませんが、病気になると栄養素の必要量は異なってきます。

またヒト、サル、モルモットなどはビタミンCを自分では作れませんが、ヤギ、ブタ、犬などの動物は自分の体内でビタミンCを合成できます。

中でも健康なヤギは1日に7gのビタミンCを合成しますが、病気になると100gのビタミンCを合成して対処していると言われています。

すなわち、自分でビタミンCを作れない我々ヒトは状況に応じて摂取量を調整すべきだと考えられます。


■どのように摂取したらいい?
それには見づらいですが、下記のグラフにあるように経口(内服)では決して点滴静注のような高い血中濃度は得られないということを先ずは知っておかねばなりません。

それもあって、ビタミンCのガン治療目的での点滴は100gなどの大量投与が必要となります。



では、経口(内服)ではどのような摂取の仕方がよいのでしょうか?

・ビタミンCが排泄される4時間以内に次のビタミンCを摂取することで、血中濃度を上昇させることができる。
・ビタミンCの吸収率から考えると1回1gの内服が効率的である。
・だから、ビタミンCは1gずつ1時間ごとの頻回摂取が有効!

とされています。











こうした効果的な内服方法を知っておいて、自身が風邪をひいた時などに応用されると良いでしょう。

ビタミンC血中濃度と得られる効果をまとめたものが下記の表になります。






目的別にビタミンCの摂取至適量(1日あたり)のおおざっぱな目安としては、以下を参考にしてみてください。

・怪我を治りやすくする:100mg
・風邪:1~10g
・副腎疲労:数10g
・ガン:100g


私自身は副腎疲労で甲状腺機能低下まで生じていた時は、上記の1時間ごとの内服を目標に10g以上を連日内服していました。

身の回りの至る所にビタミンCサプリメントを置いておいて、気がつくといつでも摂取できる環境を作っていました。

今でも私の引き出しにはビタミンCなどのサプリがゴロゴロ入っています。

普段は1日3gを目標に、小分けにして飲むように意識しています。

「風邪かな?」などの時には1gずつの内服に切り替えます。


■おこぼれのビタミンCが皮膚に回っていく?
話しは変わって「コラーゲンを多く含む食品を食べると肌がプルプルになる(コラーゲンが増える)」というイメージは世間一般に広まっているものかも知れません。

しかし実際にコラーゲンは体内でアミノ酸などの低分子レベルまで消化・分解・吸収され、身体が必要とするところで必要なものに再構成されるための材料となります。

すなわち、その材料が肌のコラーゲンを作るために使われるとは限らないわけです。

たとえコラーゲン産生に使われたとしても、そのコラーゲンは皮膚以外の臓器の血管壁の構成成分になるかもしれないのです。

残念ながら消化・分解・吸収された材料は、自分が希望する場所ではなく、身体が必要としている場所で使われるわけなのです。

栄養素の使用には優先順位があります。

個々人での違い(欠乏や病気などの状態の差)はあるのでしょうが、栄養素ごとに大まかな優先順位があります。

それが栄養素の「局在」であります。

下記は自分では人間同様にビタミンCを作れないモルモットへの投与経路を変えたビタミンC投与後の分布です。

血中濃度があまり上がらない内服(経口)では、脳、水晶体、副腎に黒い色素が集積しています。

一方で点滴した個体では、内服では見られなかった肝臓、腎臓などに加えて、切断面の皮膚にも輪郭を縁取るように色素が集積しているのがわかります。

すなわち、点滴などを行って最重要(最も必要とされている)臓器にビタミンCが行き渡った後で、皮膚にもビタミンCが供給されることがわかります。

これが優先順位です。

私には経験はありませんが、ガン治療目的で連日100gのビタミンC点滴をされておられた方々は、皆さん肌が白くなったとのことです。

 

下記は横軸にビタミンC投与量、縦軸にビタミンCの臓器内濃度を示しています。



これからわかるのは、ビタミンCの投与量が少なくても副腎と脳だけは必要な濃度が維持されやすいということです。

要は、皮膚などの優先順位は低いということです。

必要とされる優先順位の高い臓器に行き渡った後、おこぼれが皮膚にも回ってゆくのでしょう。

では、最初の問いかけである「普通にシナール錠を1日3回、一粒(250mg)ずつを毎日飲み続けるとどんどん肌が白くなってゆくのでしょうか?」に対する私の答えは、、、
「恐らく困難だろう」です。

では、どうするのか?

美容と健康を兼ねてのビタミンCの静脈投与が有効なのだろうと思います。

こうしたことから、当院でも高濃度ビタミンC点滴(10g)を再開することになりました。

内服についても、ビタミンCの血中持続時間は1gでも4時間と短いですから、まとめて大量に摂取するよりは小分けにして頻回に飲みましょう。

少なくともビタミンC欠乏による壊血病までは行かないまでも、動物実験の下記参考資料にもあるように「表皮が薄くなる」「紫外線照射によるメラニン色素の生成が増加」「老化の進行」は避けたいものです。

あとは、皮膚なのですから、外からの投与、外用という方法があります。

是非とも当院オリジナルの「GOVC-フラーレン ローション」もお試し下さいね。


ついでに知っておいて頂きたいのが、

「皮膚へのビタミンC塗布は紫外線を浴びる前が効果的」であるということです。

ビタミンCが紫外線により産生される活性酸素種を消去することによって、紫外線による細胞障害を抑制することが知られています。

(以上)

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