3、COVID-19と血中ビタミンD濃度の関係
ビタミンDには免疫を調節する作用があり、感染症、がん、アレルギーなど様々な疾患に効果が期待されています。
(以下は株式会社ヘルシーパス「Nutrients for preventive medicine®」より)
■ビタミンDの働き
ビタミンDの代表的な働きは、腸管からのカルシウム吸収や骨形成の促進ですが、その他にも免疫調節の役割があります。
特に感染症対策としては、生体に侵入した病原体をいち早く感知して発動する第一線の生体防御機構である、自然免疫系のマクロファージや樹状細胞をサポートすることがわかっています。
最近ではCOVID-19に対するビタミンDの働きが注目されるようになっています。
■COVID-19と血中ビタミンDに関する論文
ビタミンDの血中レベルの平均値と、COVID-19によって引き起こされる症例と死亡率との間に潜在的な関連があるという仮説を検証。
欧州20か国のビタミンDレベルと、100万人当たりのCOVID-19による罹患率と死亡率を集計したところ、ビタミンDレベル(平均22.4ng/ml)、COVID-19症例数/月(平均 295.95)、死亡者数/月(平均 5.96)だった。
国ごとのビタミンDレベルとCOVID-19によって引き起こされる症例と死亡率との間に負の相関関係がみられた。
特にスペイン、スイスでは高齢者のビタミンDレベルが非常に低く、COVID-19 にとても弱い集団だと考えられる。
(Petre Cristian Ilie et al., AgingClin Exp Res.2020 Jul; 32(7):1195-1198.)。
■COVID-19 感染患者の臨床結果を改善する可能性
(サウスイースタン・フィリピン大学:査読なし)
COVID-19感染の 212 症例の臨床結果と血清 25(OH)D(ビタミンD)レベルの分析。
症状は「軽度」「中等」「重症」「最重症」の 4 つに分類された。
結果、軽度:49 例(23.1%)、中等:59 例(27.8%)、重症:56 例(26.4%)、最重症:48 例(22.6%)であり、ビタミンDレベルが低いグループほど重症、最重症の割合が多かった。
また、ビタミンDレベルが高いほど軽度が多く、重症化が少ないことが分かり、ビタミンDの状態は臨床結果と有意に関連していた。
〔MarkM. Alipio,Vitamin D supplementation could possibly improve clinical outcomes of patients infected with Coronavirus-2019 (COVID2019), April 9, 2020〕。
■COVID-19 死亡率とビタミンDのパターン
COVID-19感染780例のコホート研究。
感染者の血清 25(OH)D(ビタミン D)レベルについて次のように分類。
正常:>30ng/ml、不十分:21-29ng/ml、欠乏:<20ng/ml。
ビタミンD欠乏と不十分の死亡者はそれぞれ98.9%、87.8%である一方、血清25(OH)D が正常だったグループの死亡率はわずか 4.1%だった。
ビタミンDの血中レベルが30ng/mlを下回ると死亡の可能性が急激に増加することが分かった。
(Prabowo Raharusuna et al., Patterns of COVID-19 Mortality and VitaminD:An Indonesian Study, April26,2020)