◆「腸内フローラ」について もっと知りたい方は…

(このページの内容)

1、元は肉食獣。竹で生きるパンダの腸内細菌は?
・肉食動物の腸を持つパンダが、なぜ竹の葉のみを食べるにようなったのか?
・腸内細菌叢の変化によりタケの繊維質が分解できるようになった 
・パンダ同様、人も食生活によって腸内細菌叢を変えられるのでは

2、善玉菌と悪玉菌のキホン
・善玉菌と悪玉菌のバランスについて
・腸内細菌と疾患の関係について
・代表的な善玉菌と悪玉菌を知ろう
・病気の根源「悪玉菌」?

3、腸内細菌の免疫や精神、全身への影響
・腸内細菌の働きは消化、吸収だけではない
・腸内細菌をコントロールすることで肥満を予防できる可能性について 





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1、元は肉食獣。竹で生きるパンダの腸内細菌は?

少し前の記事ですが、「ガラパイア 不思議と謎の大冒険」より引用させていただきます。

肉食動物の腸を持つパンダが、
なぜ竹の葉のみを食べるにようなったのか?

一般的な草食動物は、繊維質の消化を助けるため比較的長い腸を持つ傾向があるが、ジャイアントパンダにはそのような特徴はない。

しかも、2009年にジャイアントパンダのゲノムが解析された際に、竹や草などに含まれる植物繊維であるセルロースの分解に働く既知の酵素に対応する遺伝子がないことが明らかになった。

なのに何故パンダは竹だけを食べて生きていけるのだろう。

北京の中国科学院動物研究所は、今回の研究で、野生のパンダ7頭と飼育されているパンダ8頭の糞に含まれる遺伝子を調査。

その結果、パンダの消化管内に、草食動物の腸内で見つかるものに似た細菌が存在することを確認したという。

研究チームが確認した細菌のうち、13種は既に知られているセルロース分解細菌の仲間だったが、7種はパンダに特有の細菌だった。

これにより、従来から推測されてきた「パンダの腸の中にはセルロースを食べて消化を助ける細菌がいる」という仮説が裏付けられたこととなる。


腸内細菌叢の変化により
タケの繊維質が分解できるようになった 

パンダがもともとは肉食だったことは、腸管の構造からほぼ確実とされている。
しかし、何らかの原因で、本来の生息地を追われて高緯度地域に移動し(人類の祖先がパンダ本来の生息地に侵入して、パンダを追い出したという説が有力)、そこでタケやササという新たな食料に適応したとされている。
高緯度地域にはエサとなる動物が少ないため、動物以外のものを食物にするしかなかったからだ。 しかし、他の哺乳類同様、パンダはタケ(=セルロース)を分解する酵素を持っていないため、以前から「タケを消化することができないのになぜ、タケだけ食べて生きていけるのか」は長らく謎とされてきた。
その謎が解明されたのはここ数年のことだ。
パンダの消化管内から、他の草食動物の腸管内に生息しているのと同じセルロース分解菌が発見され、タケ食で生きていけるメカニズムが解明されたのだ。

(『炭水化物が人類を滅ぼす』夏井睦(光文社新書)より引用)


前述したように、このパンダにみる変化(適応)において一番重要であったのが腸内細菌です。こうした腸内細菌を持つことが出来なければパンダは絶滅していたはずです。ある種の腸内細菌(あるいは細菌叢)の有無によって生と死が分かれるくらい重要であることがわかります。

こうした腸内細菌(あるいは細菌叢)の重要性がパンダにだけ当てはまるのかというと、もちろんそうではありません。

牛や羊を代表とする反芻(はんすう)動物にもあてはまります。
こうした反芻動物では四つの胃(第一胃、第二胃、第三胃、第四胃)を持つことが特徴であり、我々人間の胃にあたる第四胃の前に三つもの胃を有しており、特に第一胃(ルーメンと呼ばれます)は四つの胃全体の約80%以上、消化管全体の約半分を占めています。














前述のパンダのみならず我々人間や牛を含む高等動物自体は、繊維質を分解する酵素を持っていませんので、ルーメン内に生息する腸内細菌をはじめとする種々の微生物(彼らは、高等動物にはない繊維質を分解する酵素を持っている)の働きによって、ルーメン内では牛自身が消化できない繊維質が分解されています。
「人間や犬の大腸にも細菌などの微生物が存在していますから、食物中の繊維質の5%程度は分解されます。
これに対し、盲腸に微生物が多く生息している馬では30~50%も分解されます。

そして、ルーメンをもつ牛に至っては、50~80%も分解されると言われています」とされるくらい、我々と牛では主に腸内細菌叢の違いに基づく繊維質分解能力に差が生じるのです。

(参考:環境研ミニ百科 第42号 反芻動物



パンダ同様、人も食生活によって
腸内細菌叢を変えられるのでは

(引き続き『炭水化物が人類を滅ぼす』夏井睦より引用)
しかし、本来肉食である動物が、タケのみを食べる生活に簡単に切り替えられるのだろうか。肉食動物の腸管に、肉食動物とは無縁のセルロース分解菌が、そんなに都合よく住み着いてくれるものだろうか。
こういうことを考える時、私たちはともすれば「進化とは数万年、数十万年かけて起こるものだ。パンダだって数万年かけてタケのみを食べる生活に適応したのだろう」と考えがちだ。

だが、人間に追われて高緯度地域に避難したパンダにとって、今日明日、食物にありつけるかどうかは生死を分ける問題なのだ。何かを食べて栄養をとらなければ、数日後には確実に餓死するしかないのだ。数万年かけてタケ食に適応すればいい、というのは机上の空論で、獲物を見つけられない肉食パンダにとっては、数日以内にタケを食べて栄養を得なければ死が待っているのだ。
しかし、肉しか食べていなかったパンダがタケを食べたところで、それを消化も吸収もできず、これまた死を免れることはできない。

その地域には、これまでパンダがエサとしてきたような動物は少なく、肉食を続けることは不可能だった。何日間も絶食状態が続いたパンダはそこで、生えているタケやササを口にしたのだろう。もちろん、パンダはセルロースを分解できるわけではなく、タケをいくらたくさん食べても、栄養にはならない。

だが、その地に草食動物がいるかぎり、セルロース分解菌は必ず存在する。草食動物の消化管内にいる常在菌(=セルロース分解菌)で、排泄物と一緒に外に出てしまった細菌だ。これらの細菌は当然、タケの表面にも付着していて、パンダはタケとともに、これらの細菌も摂取する。そのうちの大部分の細菌は、胃酸で消化されてしまうだろうが、一部の菌は生きたまま、タケの破片とともにパンダの大腸に運ばれる。

そして、肉食獣パンダの大腸に、噛み砕かれたタケとともに到達したセルロース分解菌は、それまでしてきたようにセルロースの分解を始め、短鎖脂肪酸やビタミンを分泌し始める。彼らにとっては、日常が戻ったようなものだ。そしてそれらは、パンダの栄養源となった。新たなすみかでも肉食の習慣を捨てようとしなかったパンダは滅び、タケやササという未知の食物を口にしたもののみが、生き延びることができたと想像される――
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これらのことは、食性(肉食、草食)が腸内細菌次第で比較的簡単に変えられること、さらにはそれらの変化が比較的短期間で起こりうることを示しています。

そしてこの比較的短期間に変化しうることが我々人間にも当てはまるのであれば、非常に朗報であると私は思うのです。

すなわち我々も食生活を改善工夫することを中心にして腸内細菌叢を変化させることによって、比較的短期間で腸内環境を変えることが出来る可能性を有していることになるからです。

私は短期間の努力はできても長期間の努力継続は困難な根性なしの性格ですから、長期戦は非常に苦手です。さらにはすぐに楽をしたいと考えてしまう情けない性格でもありますから、食生活の改善に加えて、こちらのサイトでもご購入いただける乳酸菌生産物質の併用によって少しでも効率よく腸内環境を改善できればラッキーだと思っています。

しかも乳酸菌生産物質の併用といっても、単に顆粒粉末を飲むだけですから楽なことこの上ありません。

私は単純に内服、水に溶かして飲用したり、ヨーグルトにふりかけたりなどその時々の気分で気ままに摂取しています。
(以上)

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2,善玉菌と悪玉菌のキホン

■善玉菌と悪玉菌のバランスについて
私達の腸内には100種類、100兆個もの細菌が棲んでおり、その重量は1~1.5kgにもなると言われています。

ビフィズス菌のような善玉菌もいれば、大腸菌などの腐敗菌に代表される悪玉菌もいて、また健康状態によって善玉菌の働きをしたり、悪玉菌の働きをしたりする日和見菌が存在します。

これらの腸内細菌が一定のバランスで腸内環境を保ち、健康の舵取りをしています。

善玉菌を代表するビフィズス菌は赤ちゃんの頃が最も多く、大腸内の腸内細菌の95~100%を占めると言われます。

しかし赤ちゃんが離乳食を摂るようになると、腸内細菌のバランスは成人のパターンへと変化し、全体の10~20%程度に善玉菌が減少します。








老年期になると、ビフィズス菌はさらに減少し、全く検出されなかった個体も見られるようになります。

ただ腸内細菌バランスは善玉菌、悪玉菌の比率の変化のみならず、重要なのは日和見菌が善玉悪玉のどちらにつくかで変わってきます。

まるで選挙の際の浮動票の取り込みに似ていますね。

悪玉菌が増加することによって、その代謝物もたくさん産生されて、それらが腸管粘膜から吸収されることによって悪影響を及ぼすことが考えられます。


■腸内細菌と疾患の関係について
腸内細菌と疾患の関係については様々な領域で研究が行われています。

潰瘍性大腸炎などの消化器疾患のみならず多発性硬化症、虚血性心疾患など多岐に渡りますが、腸内細菌叢の特徴(各種の菌バランスなど)が疾患の原因なのか結果なのかという因果関係などについてはすべてが解明されているわけではありません。

しかしながら、腸内細菌叢の乱れがいくつかの疾患と何らかの形で関連しているのは間違いなさそうで、乱れを改善することはある種の疾患の治療改善に繋がる可能性を秘めています。

さらには腸内環境が脳や皮膚などにも影響を及ぼすこと、社会生活上の制約からも規則正しい食生活を含む生活習慣が乱れがちになることを考えると、例え何ら特殊な疾患に罹患していなくても、我われは日々腸内環境を整備することに少しでも留意すべきなのでしょう。




■代表的な善玉菌と悪玉菌を知ろう

善玉菌として有名なのは、前述したように乳酸菌とビフィズス菌であり、我々人間の体内に定着しているこれらの菌種あるいは菌数によって体調が変化します。

またこれら以外にも善玉菌は多数知られていますが、その中でも下記の3種は有名です。

◎納豆菌
まずは納豆菌です。
納豆菌は、糖質やタンパク質を分解して消化を助け、腐敗便をなくすと言われています。
腸内細菌が産生する酸の刺激は、腸の蠕動運動を活発にして、消化活動を促進させてくれるのです。
そのためには、腸内において有益とされる乳酸菌(ビフィズス菌)を増やす必要があり、納豆菌はそこで役に立つことになります。
納豆菌をたくさん摂る人と摂らない人を比較すると、乳酸菌の量が10倍も違うことがわかっています。

◎酵母菌
次に酵母菌が挙げられます。
酵母菌は発酵する時に、脂質・糖分・カロリーを分解します。
そしてアミノ酸やクエン酸、有機酸やアルコール、炭酸ガスなど人間に有益な成分を生成してくれます。
酵母菌には、脂質や余分なカロリーを分解する働きがあるので、ダイエット効果も期待されています。
酵母菌はまた、腸内において善玉菌を活性化させる作用や、老化の原因となる活性酸素を抑える作用が認められています。
さらに免疫力の活性化等、機能面においても注目されているため発酵食品に多く使われているのです。

◎麹菌
一般的に麹菌は、菌の体内で作ったタンパク質を菌の体外へと分泌・産生する機能に優れていると考えられています。
滅菌した穀物の表面に、麹菌の胞子を植え付けて固体培養することによって、多種多様の酵素タンパク質を生み出すことができます。
この酵素タンパク質は培養中に、培地の穀物成分も分解してくれるので、日本の多くの食品には麹菌が使われおり、現在でも日々新しい物を作り出しているのです。

善玉菌の種類のうち、納豆菌・酵母菌・麹菌は「糖化菌」と呼ばれています。糖化菌とは、糖化作用を持っている細菌群の俗称です。糖化菌は胃酸の強い酸性、アルカリ性、タンパク質の変性や熱の影響を受けることなく、安定した状態で腸まで届くことで知られています。

フジッコ:乳酸菌ラボ「善玉菌の種類」より下記引用)



■病気の根源「悪玉菌」?
一方、悪玉菌は大腸と直腸に生息して腸内に腐敗物を溜め込みます。
有毒物質を発生させ、善玉菌の働きを抑制し、腸内環境が悪化することによって、便秘や下痢のみならず身体全体の免疫力まで低下させます。
その結果、各種の感染症にかかりやすくなったり、有毒物質から発がん性物質を作り出すことなども知られています。

フジッコ:乳酸菌ラボ 「悪玉菌の種類」より引用

◎大腸菌
大腸菌は哺乳類に生息する微生物です。
善玉菌優勢の腸内にも生息が可能で、増えすぎない限りは害がありません。
好気性であることから、出生直後には人の腸内で増殖し始めます。
そして、加齢や偏った食生活などの影響を受け、腸内で数を増やしていきます。増えすぎると、腸内の腐敗を進め下痢や便秘をおこしたり、免疫力を弱めたりします。
大腸菌には腸管病原性大腸菌や腸管毒素原性大腸菌、腸管出血性大腸菌などの病原大腸菌といわれる種類があり、種類によって引き起こされる症状が異なります。
腸管出血性大腸菌の例では、O-157が有名です。
大腸菌の増殖を予防するには、食品の衛生面に気を配り、十分な加熱調理や調理前の手の消毒、飲水の定期的な水質点検などを心がけることが重要です。

◎ウェルシュ菌
ウェルシュ菌は、哺乳類の腸内や自然界の土壌、水中などに生息する微生物です。
芽胞による耐熱性が特徴で、高温の環境でも死滅しない特徴があります。
そのため、食品を高温調理してもウェルシュ菌を除菌することはできません。
また酸素を嫌う嫌気性のため、食品の中心部といった無酸素状態の場所で増殖する特徴もあります。
なお、ウェルシュ菌を健康な人の腸で見かけることは極めて少なく、ウェルシュ菌が生息する腸は悪玉菌優勢である場合がほとんどです。
ウェルシュ菌が身体へ侵入すると、腸内の肉や魚のタンパク質を餌に急速に増殖し、毒素を放出します。
潜伏期間は約6時間から18時間で、12時間以内に下痢や腹痛といった症状に見舞われます。下痢や便秘のほか、発がん性物質を作り出し、がんを引き起こすこともあります。
そんなウェルシュ菌の感染を予防するには、食品の作り置きに注意しましょう。作り置きされた食品を常温冷却すると、底部が無酸素状態となります。
無酸素状態の空間は、嫌気性のウェルシュ菌には好条件です。
そのため、食品を作り置きする場合にはよくかき混ぜ、全体に空気が行き渡るようにしましょう。

◎ピロリ菌
ピロリ菌は哺乳類の胃の粘膜に生息する微生物です。
螺旋状をしており、周囲には4本から8本の鞭毛が生えています。
ウレアーゼという酵素を出してアンモニアを作り、自らの周囲をアルカリ性に保ちます。
ピロリ菌が酸性の胃の中で生息できるのは、そのためです。
また粘膜にもぐり込むことが可能なため、胃酸からも逃れることができます。
そんなピロリ菌に感染するのは、幼少期であることがほとんどです。
一度ピロリ菌に感染するとピロリ菌は胃の粘膜上で増殖し続け、胃を中心とした様々な健康被害を引き起こします。
また、胃の粘膜にアンモニアなどの有毒物質が放出されると、慢性的な胃炎になります。
ピロリ菌の増殖が進めば胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんを引き起こすこともあります。
そんなピロリ菌は、衛生環境が不十分な戦後に生まれた団塊世代の腸に多く生息すると報告されています。
中高年の方や家族にピロリ菌感染者がいる方、または胃や腸が炎症を起こしやすい方は、一度病院でピロリ菌の検査を受けることをおすすめします。

(以上)


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3、腸内細菌の免疫や精神、全身への影響


■腸内細菌の働きは消化、吸収だけではない

食物線維は腸内細菌によって嫌気発酵されて短鎖脂肪酸に変換され、エネルギー源として吸収されます。
ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンK、葉酸、パントテン酸、ビオチンなどのビタミン類の生成を行うのも腸内細菌です。











「腸は第二の脳」とも言われますし、「腸―脳 相関:gut brain axis」という言葉も日常的に耳にするようになってきました。
ここ何年も腸内環境を改善して善玉菌を増やすと精神(心)にどのような変化が生じるかについての研究も多く行なわれています。

腸内細菌の代謝物を一括して調べるメタボローム解析も進み、腸内の細菌叢が免疫や消化だけでなく、神経系にも関与しているのではないかとの報告が相次いでいます。
それらの根拠の一つは、細菌の一部がドーパミン、セリン、Nアセチルアスパラギン酸などの神経伝達物質を作り出していたことや、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)などのエネルギー代謝に関連する物質をも作り出していることが分かったことです。

腸内細菌叢が脳や心の状態と密接にリンクして、うつ病や認知症などと関連している可能性も言われてきています(後述)。

最近では「腸―脳―皮膚 相関」も提唱されています。
ストレスで悪化する皮膚疾患としてニキビ、脂漏性皮膚炎、円形脱毛症、アトピー性皮膚炎、多汗症、皮膚そう痒症、乾癬など多数の疾患が知られていることを思い浮かべれば、何となくでも理解しやすいのではないでしょうか。

以上、腸内細菌の働きは食物の消化や吸収だけでなく、発酵・合成・代謝産物によってさらに様々な作用が引き起こされ、免疫や精神、さらには腸内にとどまらない全身的な影響を及ぼしています。

■腸内細菌をコントロールすることで肥満を予防できる可能性について 

腸内細菌が宿主における食餌からエネルギーを獲得し、脂質やエネルギー代謝に影響を与えることにより, 体脂肪の蓄積に重要な役割を果たしていることが知られています。

成人の腸内細菌では、「バクテロイデス門」と「フィルミクテス門」の2種類が優勢となっています。
バクテロイデス門は、善玉菌を好む日和見菌といわれています。
このバクロイデス門といわれる菌が食べ物を分解する際、短鎖脂肪酸が排出されますが、この短鎖脂肪酸が脂肪細胞に働きかけると脂肪の取り込みがストップし、 肥満の予防につながるとされています。

一方で、もうひとつのフィルミクテス門の菌は、食事から取り込むエネルギー量が多いため、肥満に結びつきやすくなるといわれています。

肥満の人は、フィルミクテス門の細菌が多く、バクテロイデス門の細菌が少ないことも知られており、 そうしたことからバクテロイデス=「やせ菌」、ファルミクテス=「でぶ菌」などとも称されているようです。












さらには肥満のメカニズムとしては、ヒトではありませんが下記のような報告もなされています。

「高脂肪食を摂取した動物において、酢酸が他の短鎖脂肪酸と比較して高めであることを発見。
脳に酢酸を直接注射すると副交感神経系が活性化され、インスリンの増加を引き起こす。
酢酸はまた、食物摂取量を増やすホルモンのガストリンやグレリンの分泌も刺激。
げっ歯類で、ある群から別の群へ糞便移植をすることで、腸内細菌叢、酢酸レベル、インスリンに同様の変化が観察された」

これらの実験から、食事の変化に応じた腸内細菌叢の変化が酢酸の産生を増すという因果関係が証明されます。
酢酸の増加は食物摂取の増加を導き、肥満とインスリン抵抗性を高めるループが始まります

(参照/メタボリックシンドロームと腸内細菌叢


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